【番外編】なんちゃってインタビュー

大学の課題で『題材は何でも構わないので15分間誰かにインタビューしてみよう』というのがあったので、旦那にジェットコースターについて聞いてみたんだが、参考までに和訳してここに載せておく(※本人の許可済)。


―――ジェットコースターに乗り始めたのは最近とは言え、既にかなりの機種に乗ってるよね。今のところどれくらい乗ってるっけ?

旦那 200くらいかな。

―――子供の頃からずっと高所恐怖症なんじゃなかった?

旦那 うん、そのおかげでジェットコースターみたいな乗り物はずっと避けてたね。

―――何か『乗ってみたい』って思わせるような出来事はあったの?

旦那 特別な出来事みたいなものはなかったけど、まあある日高所恐怖症の自分が嫌になったというか。

―――いつ頃だっけ?  

旦那 2年前の夏かな。 ケニーウッドKennywood)に行くたびにファントムズ・リベンジPhantom’s Revenge)・・・自分が子供の頃はスチールファントム(Steel Phantom)だったわけだけど、ファントムって見るたびに『すげー怖そう』って印象しかなかったんだよね。めちゃくちゃ高いし、車両が谷底に消えてくイメージが頭から離れなくて。ただたまたまCoaster StudiosのYouTube動画を見て評価が高いジェットコースターってのだけは知ってた。で、ある日本当に何となく『乗ろう!』って思って乗ってしまったのが全ての始まり。

―――こっちはいきなり一人で乗りに行くからビビったけど(笑)初めて乗ったファントムの感想は?

旦那 うーん、当たり前だけど恐ろしかった。巻き上げもめちゃくちゃ遅いし、目を開けてるだけで必死。でもいざファーストドロップに入ったら『え、これはもしかしてめちゃくちゃ楽しい?!』っていう。今でもファントムの巻き上げは高所恐怖症の人には最悪と思うよ。時間かかり過ぎて『俺今何でこれ乗ってるんだろう』って後悔する(笑)

―――そんなに遅いっけ?巻き上げどれくらいかかる?

旦那 1分もかからないと思うけど、高所恐怖症の人間にとっては世界で一番長い1分間なんじゃないかと。

―――でもそれをサバイバルできて、勢いで200も乗っちゃったと(笑)高所恐怖症は克服したってこと?例えばバンジージャンプとかジップラインとかもやってみようと思ったりは?

旦那 どうだろうね。何年か前はジェットコースターに乗ること自体が想像すらできなかったけど、高い所とか飛行機から飛び降りるのは楽しめるかどうか・・・。

―――なるほど。ジェットコースターは特別ってことなのかな。

旦那 ジェットコースターってのは俺にとっては始まりと終わりのあるサーキットなんだよね。コントロールされた空間。あと、ジェットコースターは一つ一つデザインが違うから乗った時のスリルももちろん違ってくる。それに比べてスカイダイビングとかは・・・いっつも飛行機から落ちるだけじゃんみたいっていう(笑)

―――じゃあ今まで乗った200機種の中で一番気に入ってるのは?

旦那 今のところシダーポイントCedar Point)のスチール・ベンジェンスSteel Vengeance)かな。

―――その理由は?

旦那 ジェットコースターに乗ってて特に好きなのは一時的な無重力感・・・座席から投げ出されると同時にキャッチされる感覚なんだけど、スチールベンジェンスで感じられる無重力感は最高だと思うんで。

―――ほうほう。じゃ、逆にできれば乗りたくないなっていうのはある?そしてその理由は?

旦那 うーん、ショルダーハーネスは快適じゃないのが多いからあんまり好きじゃない。でも怖いから乗りたくないっていうのはもうないかな。世界で一番高いの乗っちゃったからもうそのハードルは越えた感がある。

―――キンダカKingda Ka)だよね、ニュージャージーの。

旦那 そう、450フィート前後だったかな。

―――乗った時の感想は?

旦那 正直世界一高いジェットコースターにしては期待外れで、あまり面白いと思えなかった。記憶にあるのはショルダーハーネスで肩が擦れて痛かったことだけっていう(笑)

―――あーあ・・・。今はケニーウッドとかシダーポイントとかシックスフラッグスとか全部冬で閉まってるわけだけど、何か月かジェットコースターに乗れないのは気分的にどう?

旦那 個人的には夏のジェットコースターの楽しみが増すから良いことだと思ってる。目標があるというか。毎年リセットできるから、毎年フレッシュな気分で既に乗ったことのある機種も乗れるし。

―――ずばり今年の夏の予定は?

旦那 今のところキングスアイランドKings Island)、ホリデーワールドHoliday World)、あとドリーウッドDollywood)。2人とも正社員で働いてるからどうしても週末に弾丸遠征になるのがちょっとね。ケニーウッドは30分で行けるから今年もしょっちゅう行くだろうけど。

―――奥さんもジェットコースターマニアですし(笑)

旦那 よくジェットコースターについて意見が分かれるのが玉に瑕ですが(笑)いや冗談抜きで、うちは娘もいるから家族全員で外に出て体動かすってのは基本的に良いことだと思ってる。

―――かなり大きな遊園地もあるしね。

旦那 そうそう。気がついたら2~3万歩くらい歩いてたってザラだし。

―――今年一番楽しみにしてるジェットコースターは?

旦那 ドリーウッドのライトニングロッドLightning Rod)。世界一速い木製コースターで、一番好きなメーカーのRMC設計なんで。

―――スチールベンジェンスもRMCと。

旦那 そう。ライトニングロッドのレビュー読んだり動画見たりする限りではこれは絶対自分には当たりのコースターだろうなあと思ってる。スチールベンジェンスを超える可能性もあるかも。乗ってみるまでは何とも言えないけど。

―――期待通りだと良いんだけどね・・・。じゃあ最後に、ジェットコースターに乗ってみたいけど怖くて乗れないよって人にアドバイスを一言。

旦那 物は考えようってところかな。自分も怖いとまでは行かなくても未だに乗るときにちょっと緊張することはあるわけだけど、最初から『これは高過ぎる』とか『これは速過ぎる』とか決めつけてたら楽しめるものも楽しめなくなる。『絶対楽しんでやる!』みたいに無理やり勢いつけたらあんまり失敗しないんじゃないかな(笑)

荒れ狂うボヤージュ

Voyage © 2020 h42m47

キングスアイランドKings Island)のコースターストックCoasterstock)ももちろん楽しいのだが、個人的にジェットコースターのイベントの中で一番好きなのはホリデーワールドHoliday World)のホリウッド・ナイツHoliWood Nights)だ。名前の通り木製コースターのナイトライドを中心に構成されており、2日間3時間半の夜のERTを楽しめる。

インディアナ州の農園地帯という辺鄙な場所にあるも関わらず、ホリウッド・ナイツにコースターストックやシダーポイントCedar Point)のコースターマニアCoasterMania!)に負けない人数の参加者が集まる理由の1つがこのイベントでしか乗ることのできないトリムレス・ボヤージュ(Trimless Voyage)だ。

ボヤージュはPTC車両の限界に挑戦するようなゼロカントカーブ(※1)や後半のトンネルの中へ突き落されるようなトリプルダウンが人気で、木製コースターでは世界2位の長さを誇る。うっかり朝一番や涼しい日に乗ってしまうとあまりにも緩やかで拍子抜けしたり、逆に真夏日の昼下がりには同じ機種と思えないほど折り返し地点から暴走したりと、環境に左右されやすいナマモノなコースターでもある。

通常はトリプルダウンの手前で中間ブレーキ(=トリムブレーキ/trim brake)がかかるのだが、ホリウッド・ナイツの2日目の夜のみこのブレーキが解除されることから『トリムレス・ボヤージュ』というあだ名がついた。

先に結論を言うと、自分の中ではこのトリムレス・ボヤージュに匹敵するナイトライドは今のところ存在しない。5月末の夜というとインディアナ州は既に蒸し暑く、それだけでも十分走りは速くなるのだけれど、加えて車両は毎回マニアで満員御礼という最強条件。暗闇の中を上下左右に振り回され、失速することなくトリプルダウンに無謀に突っ込む感覚は、最後列など浮くというよりも体がもぎ取られるに近く、奇妙な笑い声が出てしまう。とにかく、ヤバい。

ボヤージュはオープン数年後に当時開発中だったティンバーライナーTimberliner)車両に変更する予定だったのが納品が遅れたためにPTC車両のままになったという経緯があるそうだが、少なくとも自分も含む一部のマニアにとっては結果的には良かったのだと思う。トリムレス・ボヤージュは多少身の危険を感じるからこそ格段に面白く、これが快適な近代車両だと恐らくスリルは半減してしまう。

困ったことにホリウッド・ナイツでボヤージュだけではなく、レイブンRaven)もレジェンドLegend)もサンダーバードThunderbird)も全部化ける。レイブンは短いコースながら夜の森の中を駆け抜けるのが爽快だし、サンダーバードはイベント1日目は照明オン、2日目は照明オフと違いを出してくれる。レジェンドについては書くことがあまりにも多過ぎるのでまた別の機会に。とにかくナイトライド好きは毎年行かざるを得ないイベントなのだ。

トリムレスでは1:40辺りの中間ブレーキがありません。

※1 同じくPTC車両でゼロカントカーブが1回だけあるラビンフライヤーIIRavine Flyer II)のニックネームは『ミニ・ボヤージュ』。

奇跡のリベンジ

Low-Profile Train of Phantom’s Revenge © 2020 h42m47

第2のホームパークはキングスアイランドKings Island)と言ったが、第1のホームパークは我が家から車で30分ほどのところにあるケニーウッドKennywood)だ。

1899年から営業している老舗の遊園地(※1)。規模は比較的小さいのだが、世界に一つしかないジェットコースターが多いというのが一番の強みで、古い順に並べてみるとこうなる。

  • ジャックラビットJack Rabbit)― 木製地形利用コースター。1920年オープン。
  • サンダーボルトThunderbolt) ― 木製地形利用コースター。1924年オープン。1967年改築、ピピン(Pippin)より改名。
  • レーサーRacer) ― 木製メビウス型レーシングコースター。1927年オープン。
  • ファントムズ・リベンジPhantom’s Revenge) ― 鉄製地形利用ハイパーコースター。1991年オープン。2001年改築、スチールファントム(Steel Phantom)より改名。
  • スカイロケットSky Rocket) ― 鉄製ランチコースター。2010年オープン。
  • スチールカーテンSteel Curtain) ー 鉄製ハイパーコースター。2019年オープン。

スピニングコースターのエクスターミネーターExterminator)ですら屋内型はケニーウッドの他に1か所しかない。またジェットコースターに限らずフラットライドもユニークなものが数基あり、自然とエアタイムでハンズアップになるカンガルーKangaroo)に未だに乗れるのもこの遊園地だけだったりする。

ケニーウッドのジェットコースターの中で特に注目してもらいたいのはやはりファントムズ・リベンジ。近年木製コースターのRMC社によるハイブリッド化が人気だが(日本では2019年ナガシマスパーランドに白鯨がオープン)、そのトレンドが始まる以前にアローArrow Dynamics)のスチールファントムを悪評高いルーピングコースターからエアタイム満載の世界唯一の地形利用ハイパーコースターに生まれ変わらせたのがスチールドラゴン2000で有名なモーガンMorgan)だ。

モーガンはGがかかり過ぎて痛いと苦情の多かったループやコークスクリューを取り除くなど大掛かりなレイアウトの変更を行っただけでなく、車両の改造も行い、ショルダーハーネスはシンプルな棒状のラップバーに変わった。このラップバーが笑えるほどスカスカで、イジェクタ―(ejector/投げ出されるようなエアタイム)では時折安全性を疑うほど体が滑り出る。アローの車台を再利用しているため目線も低く、最高速度も時速130km以上でかなりスリリングな乗り心地になっている。

残念ながらファントムズ・リベンジはモーガン最後の大掛かりなプロジェクトとなってしまい、この改造車両が他の遊園地に普及することはなかった。オーナーは2001年に引退し、全ての資産をライバルのチャンスChance Rides)に売り払っている(※2)。皮肉なことにRMCの創立は同じ2001年。木製の改造はRMC、アローの改造はモーガンなんて世界線もありえたのかも知れないと思うと非常に悔やまれる。

日中に乗っても十分に楽しめるファントムズ・リベンジだが、地形利用コースターのご多分に漏れずナイトライドも秀逸。ハロウィンイベントのファントム・フライトナイトPhantom Fright Night/通称PFN)では正に主役であり、遊園地全体が照明を落としている中真っ暗闇に吸い込まれるセカンドドロップでは毎回アドレナリンが出てしまう。PFNは年パス所持でも追加料金がかかるのだけれど、『ケニーウッドのケチ!!』と文句を言いながらも毎年1回は行ってしまうのはそれだけの価値があるからだ。

長くなってしまうので他のジェットコースターについてはまたの機会に。地元バイアス抜きにしてもかなりユニークな遊園地なので、もっと知名度が上がれば良いなあと思っている。

ファーストよりもセカンドの方がドロップが大きい。

※1 元々は路面電車の終点に作られたトローリーパークtrolley park)だった。今はバスは通っているが残念ながら電車は通っていない。

※2 チャンスのライトニング・ランLightning Run)はコスパ最強の優良コースターなのに何故このHyper GT-Xというモデルが普及していないのか未だに謎。

暗闇のビースト

The Beast Awaits © 2020 h42m47

私はジェットコースターのナイトライドが大好きだ。遠くの遊園地に旅に出るときには必ず閉園時間だけでなく日没時間も調べている。視力が無駄に良く、高所やスピードは恐怖どころか大好き(要するに生粋のアホ)な自分にとってジェットコースターで『楽しさ』ではなく『スリル』を味わえるのは視界を奪われる夜だけと言っても過言ではない(※1)。

我が家から車で4時間かかるキングスアイランドKings Island)を第2のホームパーク呼ばわりしている理由の一つにナイトライドのクオリティの高さがある。地図で注目してもらいたいのがジェットコースターの位置。大多数が外周に設置されており、林に向かってコースが伸びているものも多いため、夜は格別暗くなる。イルミネーションも唯一明るめなのは入り口から見える位置にあるインバーディゴInvertigo)くらいではないだろうか。バットThe Bat)にいたっては夜はうっかりすると乗り場を見逃してしまう。

春夏の夜も楽しいけれど、やはりホーントHaunt)の期間中が日没が早い上に金曜と土曜は真夜中0時まで営業になるので一番ナイトライドを満喫できる。これでもかというほどスモークが焚かれるためゾンビに追いかけられているうちに迷子になってしまう危険性はあるが、何処にいてもとりあえずエッフェル塔Eiffel Tower)に向かって歩けば真ん中の通りに戻れると覚えておけば安心だ。

ちなみにジェットコースターには乗りたいけれど、驚かされるのは苦手という場合はノーブーネックレス(No-Boo Necklace)を購入して首にかければゾンビやモンスターに絡まれなくなる。ホーントの期間中はシダーフェアCedar Fair)系列のどのパークでも使用可能なので、キングスアイランドとシダーポイントCedar Point)をハシゴする場合は1回購入するだけでOK。毎年可愛いデザインなのでお土産代わりに買うのも良いかも知れない。

2018年バージョン。スイッチを押すと光る。

さて、前回の記事にも書いたけれど、キングスアイランドのナイトライドと言えばビーストThe Beast)。ハンズアップすると席によっては腹打ちしたり変なところにアザがついたりするほど荒い乗り心地なのにも関わらず、マニアだけでなく地元の一般のお客さんにも何故か愛されている。コースの大半が林の中にあり、月明かりのない曇りの日などは冗談抜きで真っ暗闇の中を延々と引きずり回される(※2)のだが、それをむしろ多くの人が楽しみにしており、ホーントの期間中は寒かろうが小雨が降っていようが列に並ぶ人が後を絶たない。

自分も大好きなナイトライドなので機会がある毎に列に並ぶ。しかし苦手な人は本当に苦手なジェットコースターなのも確かで、実は旦那も自分の友達もたまにしか乗りたがらない。2人とも身長が185cm以上なのだけれど、どうも終盤の巨大なヘリックスが体に堪え、体調が万全でないと頭痛までするらしい。トンネルの中はヘッドチョッパー(head chopper/頭が天井に当たるように錯覚すること)効果もあるので背の高い人には余計きついのかも。自分はハンズアップでも全然平気。たまには低身長でラッキーなこともあるものだ。

もちろんナイトライドが楽しいのはビーストだけではなく、意外なところではアロー社のマイントレインのアドベンチャー・エキスプレスAdventure Express)なんかが個人的にお気に入りだったりするのだが、その話はまた次の機会に。とにかく百聞は一ライドに如かずなので、興味のある方は是非一度乗りに来て欲しい。

何も見えなくて途中ビデオ撮ってる意味が(以下略)

※1 先天性の夜盲症。灯りが全くない夜の道での運転では冷や汗をかく。

※2 ビーストは世界一長い木製ジェットコースターの記録を持ち、2km以上もある。

さようならボルテックス

Vortex During WinterFest © 2020 h42m47

とうとうキングスアイランドKings Island)のボルテックスVortex)の撤去が始まったそうだ。

一昨年ファイアーホークFirehawk)のクローズが発表された時はフライングコースターが大好きな自分にとってはかなりショックだったが、部品の入手が困難でもうこれ以上メンテができないと聞いており、跡地にB&Mのギガコースターが入るいう噂もあったので仕方がないと割り切れた(※1)。流石にループが取り壊される映像を見たときには鼻の奥がツーンとしてしまったが。

それに比べてボルテックスは見た目はとても格好良いけれど、アロー社のショルダーハーネス(OTSR)はうまく乗らないと必ず頭を打つし、巻き上げはやたら遅い上に何ならたまに途中で止まってしまうしで、自分の好きなコースターからは程遠い・・・はずだった。

事の始まりは去年5月のコースターストック(CoasterStock)。このイベントの目玉の1つに閉園時間から真夜中までのERT(Exclusive Ride Time/参加者にのみいくつかのライドが開放される)があり、真っ暗な林の中を走り抜けるビーストThe Beast)のERTはマニアに特に人気で、自分もご多分に漏れず友達と乗りに行った。

そのビーストから満足して降りた直後に見えたのがゴトゴトゴトゴトと大きな音を立てながら走るボルテックスの空車両。ERTのリストに含まれてはいたものの、参加者の大半はビーストやダイアモンドバック(Diamondback)、そしてミスティック・ティンバーズ(Mystic Timbers)に流れていかんせん人気がなさそうな雰囲気。

直感的に『これは今乗らなあかんかも』と思い、痛そうだから嫌とゴネる友達を置いて乗り場へ行ってみると、案の定他には誰もいない。しかし3台律義に走らせているようで、スタッフさんが再び空出ししようとしていた車両を慌てて止めて乗せてくれた。そして『クリア!』と笑顔で親指を立てて自分1人をディスパッチ。ゴトゴトゴトゴトうるさく自己主張するジェットコースターに暗闇の中ぼっちで乗っていることがひたすら可笑しく、コークスクリューでハーネスに頭を打ちそうになることなんてどうでも良くなってしまっていた。

そう、人生初のゼンライドZen Ride/車両にたった1人で乗ること)を経験させてくれたのがボルテックスだったのだ。その後乗り方のコツを覚えたらハーネスはあまり気にならなくなり、偶然スタッフさんの『僕はボルテックスを愛しています』『雨の日には車両を磨いたりしています』なんていう話を読んでしまったりもして(※2)本気で愛着が沸いてきた矢先のクローズの発表だった。10月のホーントHaunt)の期間中に乗り納めには行けたものの、もっと乗れる時に乗っておけば良かったと今更悔やんでいる。

11月のウィンターフェストWinterFest)ではボルテックスの横の通り道は例年通りシンプルな照明で飾られたツリーが並ぶ以外はひっそりとしていた。前年と違ったのは自分と同じようにもう二度と動くことのないジェットコースターを立ち止まって見つめるマニアが数人いたことだけだ。

Rest in Pieces, Vortex.

しかしこう見ると巻き上げは冗談抜きに遅かった・・・。

※1 2020年4月11日オープン予定のオリオン(Orion)。決してオニオンではない。

※2 このスタッフさんのブログ、日によって変わるウィンドシーカー(WindSeeker)からの景色や流れた曲のことも書かれていて素敵だったのに今はなくなっていてとても残念。

ゴーストライダー再び

GhostRider © 2000 h42m47

約1年5か月振りにカリフォルニアのナッツベリーファームKnott’s Berry Farm)に行ってきた。月曜朝8時過ぎの便で出発して火曜の夜行便で帰って来るというアメリカ大陸横断するにはタイトなスケジュールだ。

ペンシルバニアやオハイオ周辺の遊園地は大抵営業は元旦までで、春が来るまではメンテも兼ねて押しなべて閉園してしまう。1月に入れば気温が氷点下の日もぐっと増え、たまに雪も積もったりするので仕方がない。しかし職場の大仕事が一段落して大学の期末試験も終わったというのに遊園地に行って発散できないのはジェットコースターマニア的には死活問題(ちょっと大げさか)。幸いここ2か月の自分のストレスの溜まり具合を熟知している旦那は2日間の育児ワンオペを快諾してくれ、弾丸旅行決行となった。『心の健康を大切に』は我が家のモットーである。

何故ナッツなのかというと、単にゴーストライダーGhostRider)という木製ジェットコースターにまた乗りたくなったから。あとナッツ含むシダーフェアCedar Fair)系列の遊園地に全部行けるプラチナムパス(Platinum Pass)を今年も更新したのだが、列を全てすっ飛ばすことができるファーストレーンプラス(Fast Lane Plus)の年パスまで購入してしまったので、早く元を取りたいという思いも強かった。お値段が張る(※1)とは言え、混雑する週末・祝日でも気兼ねなく遊びに行けるので、自分のような社会人子持ちジェットコースターマニアにとってはとてもありがたいサービスだ。

さてこのゴーストライダー、 昼間乗っても十分楽しいのだけれど、本領を発揮するのは断然日没後。車輪が十分に温まりスピードが上がるのでドロップや横Gでやたら振り回されるのはもちろん、シンプルなオレンジの照明とたまに見える夜景以外の視界が奪われるので楽しいことこの上ない。なのに車両が体に優しいGCI社のミレニアムフライヤーMillennium Flyer)でリピートしてもダメージが少ないという優秀さ(※2)。このジェットコースターのあるゴーストタウンGhost Town)というエリア全体が照明を最小限に落としていて怪しい雰囲気抜群なのも心に刺さる。今まで200機種以上乗ってきたけれど、ナイトライドに関して言えば自分の中では未だにトップ5に入るジェットコースターだと思う。

幸い飛行機は定刻通りに着き、初日は半日滞在しただけにも関わらずゴーストライダーに4回乗れた。正直乗ろうと思えばもっと乗れたのだが、スタッフさんが『最後列が好きな人』と覚えていてくれ、祝日で混んでいて基本的に席指定不可だったにも関わらず毎回最後列に誘導してくれたので十二分に楽しめてしまった。乗りたいジェットコースターは一通り全部こなし、ゴーストライダーとは対照的にイルミネーションが派手なことこの上ないハングタイムHangTime)も夜2回乗れたので9時頃には満足してホテルに戻り、2万歩以上歩いたこともあって朝まで熟睡した。

2日目はピッツバーグに引っ越して以来ご無沙汰のロサンゼルス在住の友人と合流。ナッツに一度も行ったことがないと言うので強制連行したのだが、聞けばジェットコースターは大好きと言うし、生まれ育ちはニュージャージーでシックスフラッグス・グレート・アドベンチャーSix Flags Great Adventure)にはよく行っていたそうだから驚きだ。知り合って7年になるのに一度も話題に上らなかったのが不思議で仕方がない。

シックスフラッグスで一番好きだったのが木製のエルトロEl Toro)と言うので嬉々としてゴーストライダーに真っ先に乗りに行ったら、案の定『これはもう一回乗りたい』と上機嫌。結局この日はジェットコースターに乗ってはビールを飲み、また乗っては休憩してビールを飲みを繰り返した。シルバーバレットSilver Bullet)では2人ともアルコールのせいで目が回り、手すりに掴まらないと階段を下りることができずバカ笑い。おかげで予算オーバーしてしまったが、なかなか会えない相手と飲む酒のためなら安いもんである。

予算オーバーとは言ったけれど、弾丸旅行にも関わらず時間には比較的余裕があり、行きも帰りもメトロとバスを使ったので交通費は合計たったの$3.50だった。空港から2時間ほどかかってしまうが、乗客を観察したり外の風景をのんびり眺めたりできて悪くない。おまけにバスには座席下に充電用のUSBポートが付いているという親切さ。ピッツバーグのバスもシンクホールに落ちてないで見習って欲しいものだ。

帰りの便も定刻通りで、水曜の朝7時頃到着。ロサンゼルスでは20℃前後の陽気だったのが、ピッツバーグは‐12℃。飛行機を降りた直後は寝不足で呆けていたものの、駐車場で車のフロントガラスに貼り付いた氷をゴリゴリ削っているうちにすっかり目が覚めた。春も次のジェットコースターもまだ遠い。

中間の折り返しの直後のドロップと後半のヘリックスが特に気に入っている。

※1 シダーフェアの年パス関連はカナダズ・ワンダーランドCanada’s Wonderland)から購入するとカナダドル決済になり為替レートのおかげで20%以上の割引になる。多くのアメリカのジェットコースターマニアが使っている裏技。

※2 私はPTC社の狭苦しい車両で膝や腿や肘にアザ作って喜ぶようなバカなので、実は快適さにはあまりこだわらなかったりする。